ショートコント３（後半）

　オペ当日、まだ若い医師（主治医ではない）が点滴をうちにやってきた。
　‥‥が、緊張したのか経験が浅いのか２回失敗し硬直。
「‥‥‥‥‥。
　すみません、針を取ってきます」
　と病室を出て行ってしまった。

　新米ナースが
「立派な血管ですね~」
　と褒める血管をもっている私でもその医師にとっては難関だったらしく３度目の時は血管を探るべくびしばしと派手に腕を叩かれまくった。
　誰もが最初は初心者だ、ということは分かっていてもなかなかできない体験だと思った。

　３度目の正直で無事に点滴の針が入った。
　しばらく経ったら点滴が少なくなってきたので、ナースコールを押す。
「はい」
「×号室のqinです、点滴終わりそうです」
「はい、今行きますね」

　ところがちょうど夜勤から日勤への引き継ぎの時間帯だったらしくナースが来ない。
　その間に点滴が終わってしまった。
　更にその頃掃除のおばちゃんズがやってきた。
　掃除だけなら動く必要はなかったんだけど、週に一度の大掃除の日だったとかでベッドを追われてしまったのだ。（笑）
　そう、点滴の薬液がもうないのに立ち上がって動きまわったため、点滴が逆流して血液がでてきてしまったのである。

「（することないし、ナースステーションにでも直に言ってこようかな）」
　とポチ（キャスター付きの点滴台。正式名称を知らないから勝手に命名）をカラコロさせながら廊下をぽてぽて歩き始めた私。
　ちなみにこの時私が通された病室は廊下の端っこでナースステーションから一番遠い部屋。
　‥が、空っぽの点滴袋を提げたポチを連れ、明らかに逆流した血液だとわかる真っ赤な管をぶら下げて歩く患者の姿は結構なホラーだったらしい。
　遠くから見えたのか、他の人がナースコールをしたのか。
　数秒後、ナースが血相変えてすっ飛んできた。（笑）
　病室に戻り、点滴を替えるついでに逆流した血液も体内に戻してもらった。

　オペは普通に成功。
　翌日には歩き回り、オペビデオを見ながら大はしゃぎして担当医師にマニアックな質問をしまくった。（笑）
　経過も極めて良好で予定通り退院。
　数日後、傷のチェックに通院したときのこと。
「経過は良好ですね。何か質問はないですか？」
「あります、あります。
　好奇心で聞くんですけど（最初にこう言うとどんなマニアックな質問にもすんなり答えてもらえる）
　この傷、１つはカメラってことは分かるんですが残り４つの傷はどれが機具穴でどれが空気穴なんですか？」
　医師は目を点にしたまま見事に固まっていた。
　数秒後、ようやく思考回路が戻ったのか手をわきゃわきゃ動かし軽いフットワークでオペの演技をしながら
「え、えーっと。
　このように状況に応じて使う機具が違ってくるので、そのときによって違ってきます。
　つまり全てが機具穴であり、空気穴にもなります」
「あー、そうなんですか（＾＾）」

　‥‥‥‥。
　こんな感じ？（写真はイメージ映像です）



　一つ一つは小ネタだけど、集めてみたらそこそこ面白いネタになったような気がする。

コメント 18

ワタシもビシバシ！組。とうとう、掌の血管から入れました。これで入らなかったら・・・浮き上がってるんだものね。　
それにしても、来ない看護婦さんも悪いけど、立ってあるくこと、ないのに。掃除のオバサン、コワイ顔してたの？
最後の質問については、多分、ワタクシも同じようなことを、ひつこく聞いたでしょう。膝のオペの時も、モニター見ながら、質問攻めだったもの。
病院ネタって、結構あるもんですね。
by okko (2009-04-10 16:26) 

９００切番ナイス踏んだけど？・・・何もないよね、賞与は
by okko (2009-04-10 16:28) 

僕もね、血管太いんです。しかも献血の跡だらけ・・・σ(^_^;)
んでもその後、高血圧になってしまい、薬を毎日服用せねばならなくなり、献血は１０１回で断念いたしました。ちなみに１００回で何故か赤十字ではなく市から表彰され、副賞のオーブントースターを貰い、今でも重宝してます。
思い起こせば１５年前・・・肺炎で入院。ＩＣＵで意識が戻ったらカラダは管だらけだったなぁ・・・(^▽^;)
by エルモ (2009-04-10 22:28) 

こんばんは。
私は血管がでないので点滴は苦手。
でも入院をしている時は２４時間点滴状態が一週間も続いた。
トイレだって首で液を支えてしていましたよ。
by 京男 (2009-04-10 23:56) 

ｷﾞｬﾊﾊﾊ!!((ｏ≧∀)ノ彡☆ﾊﾞﾝﾊﾞﾝ!!“
ちょっとqinさん面白すぎ！
モニターに向かって爆笑するオイラに向けられる弟の冷ややかな視線がイタイんですけど・・・＾＾；
by とり (2009-04-11 09:07) 

いいなー、りっぱな血管。
by 春分 (2009-04-11 22:00) 

うちのヨメも子宮内膜症の手術で腹にいくつも穴あけてましたねぇ・・・。
ネタになりそうな話ないか聞いておこう♪ （笑）
by がま親分 (2009-04-12 00:44) 

okkoさん
することがなかったのと
「すみませーん、週に1度のお掃除の日なんでそこ、どいてもらってもいいですか？」
とえらくさわやかな笑顔で言われ、あっさりどいてしまいました。(^-^;
ちなみに自衛隊ブランドのシールやストラップでよろしければ900ナイス記念で差し上げますが、いかがいたしましょう？(^-^)

Shoueiさん、shinさん、xml_xslさん
ナイスをありがとうございます。

エルモさん
私も病院に通うまでは献血に結構行っていました。
だからこのオペ前の検査の時に担当医師に
「献血、よく行くでしょ？　ここの皮膚が硬くなってるよ」
と造影剤の注射をする時に血管の上をぷにぷに押されながら言われたことがあります。
> ＩＣＵで意識が戻ったらカラダは管だらけだったなぁ・・・(^▽^;)
大変お疲れ様でした。ｍ(＿)ｍ

京男さん
やはり友人で血管が出にくい人が同様のぼやきをしておりました。
一度だけ手の甲に点滴を打ったことがあるのですが、痛くなかったんですよ。
あれってベテランナースだったからなんですね。
新米だったらかなり痛い思いをしたかも‥

とりさん
小ネタでも一つに集めるとなかなかの笑いがとれるようですね。(^^)
ちなみに点滴が逆流したと書きましたが
「（放っておいたらどこまで逆流するかな）」
と管をじっと見つめていたことは内緒です。
弟さんについてはどうフォローしましょうか。(^-^;
なんせ本当のことを書いただけですから。(笑)

swm104さん
ナイスをありがとうございます。

春分さん
ありがとうございます。
ナースに言われますが、本人に自覚なしだったりします。

がま親分さん
ネタになりそうなお話がありましたらぜひ聞かせてください。(笑)
内膜症のオペでしたら、だいたい傷の大きさと数は私と同じだと思います。
by qin (2009-04-12 19:23) 

Mineosaurusさん
はじめまして、ナイスをありがとうございます
by qin (2009-04-16 15:23) 

これはまた貴重な体験！！！
by ハイマン (2009-04-16 16:18) 

ハイマンさん
一つ一つは「ちょっと待て」的な出来事ですが、命に全く別条ないということで笑いのネタになったような気がします。
by qin (2009-04-17 21:04) 

なんだか騒ぎに出来てしまいそうな状況も
笑い話になってしまっている奇跡…ｗ
ぜひ、次回はご自身で腕パシパシしながら、
「見てみい、この立派な血管。カッチカチやぞ！カッチカッチやぞ！！」
って感じでｗｗｗ

失礼いたしました。ペコm(_ _;m)三(m;_ _)mペコ
by ひろ茶 (2009-05-06 16:33) 

ひろ茶さん
普通なら騒ぎになりかねない事態ですが、命に別条はないので笑い話にしてしまいました。
その後、回復の早さとダメージの少なさに素直に感動したので主治医にお礼のハガキを書いて出しておきました。
一番最後に
「○○先生、注射、すごく痛かったよ~(;_;)」
と付け足したのですが、主治医はそのことを知って笑いながらもその医師にはそのことを話さなかったそうです。
‥‥‥‥。
ちっ。(苦笑)
by qin (2009-05-06 22:46) 

ごんちゃんさん
ナイスをありがとうございます。(^^)
by qin (2009-05-11 20:56) 

ボクは「ごめんねー」と本当に済まなさそうに謝りながら血管に針を刺そうとするコワイ看護婦さんを知ってます。
by Mineosaurus (2009-05-14 20:06) 

Mineosaurusさん
確かに仮に下手だったとしても、済まなそうに針を刺すより堂々としている方が安心できますよね。
時々病院ネタが出てきてますが、ご覧の通りの悪ガキですので知り合いのお姉さんが
「新人医師が担当したら滅茶苦茶いろんな意味で鍛えられそうね」
と仰っておりました。
by qin (2009-05-15 22:44) 

最近、アップありませんけど、お元気ですか？
面白いネタまったいますよ。
ああ、その賞品でしたら、申し訳ない、ご遠慮させて頂きます・・笑
by okko (2009-06-03 15:22) 

okkoさん
詳細はもうしばらくしたら報告できますが、１か月以上体調不良が続いておりました。
近いうちにまた更新できると思います。
ありがとうございます。ｍ(＿)ｍ
その賞品は興味ないですか、やっぱり‥‥(^-^;;;;

cheeさん
はじめまして、ナイスをありがとうございます。
by qin (2009-06-07 22:57)