男と女2 [自衛隊小ネタ]
今更言うまでもないが、自衛隊は男の世界である。
なので「仕事では女と言うことを忘れろ」みたいなことを言われたりする。
しかし女であることを棄ててもいけないらしいのだ。
男社会故の願望と幻想なのかも知れないが、わかりやすく言うと
「始業ラッパが鳴ったらソルジャーになれ、終業ラッパが鳴ったら女に戻れ」
と言うことなのである。
‥‥‥‥。
電気のスイッチじゃあるまいし、そうそう簡単に切り替えなんぞできるか!!!
教育隊にいた頃、そう言ってブチ切れたのは他ならぬ私自身である。
先日のブログで教育隊にいた頃、角刈りにしてしまった女性自衛官が居たと言うことを書いた。
それを見た助教(直属の教育係)は
「何てことするのよーーーっ!!!」
と半ば絶叫していた。
そう、終業ラッパが鳴ったら女性に戻るのが理想な自衛隊の世界では「女の要素」も残していなければ宜しくないらしいのだ。
確かに角刈りにしてしまえば女スイッチが入ることはないだろう。
本人にしてみればちょっぴり「ざまぁ見ろ(^^)」的なモノもあったのではないだろうか。
ところで前期教育(広く浅く、基本的なこと全般をやる)は女性のみで教育を受ける。
なので「男に負けるな」的なことを上官達に散々言われる。
後期教育は男性隊員と一緒の教育になるけれど、職種の専門教育なので知識的に知っておいて貰わなければならないからと言うことで男性隊員と全く同等の扱いを受ける。
これらの教育を経て部隊配属。
そして部隊では普通に女性として扱われる。
教育隊は殆ど年齢の変わらない若手ばかりだけれど、部隊では既婚者が多く、また私たちと変わらない年齢の娘さんを持つおじさん隊員なんかもいるから向こうにしてみれば当然の接し方なのだろう。
それは分かる。
‥が、久しく女性扱いされていなかったため、しばらくの間普通に女性扱いされたことに正直なところ、戸惑ってしまった。(^-^;
ちなみに男も女もない、と言いながらVIPが来ると接遇係(言わずと知れたお世話係)は若い女性自衛官が指名される。
私も何度か経験している。
まぁ、私の場合は上官相手でも動じないふてぶてしさを買われたのだと思うけど。
上官達も
「女性だからお世話係、とか言うんじゃないからね。
むさくてごつい男性隊員よりも、若くて可愛い女性隊員に出して貰う方がお茶も美味しく飲めるだろうからお願いするだけであって、女性隊員だからって決してお茶くみ要員認定しているわけではないから‥ごにょごにょ」
と、上官として精一杯気を使ってくれているコメントまでしてくれる人もいる。
そう、やはり中には
「男女同権と言いながら、女性隊員だけにそのような仕事をさせるのですか?」
と噛みつく人もいるらしいのだ。
そんな話をダンナとする。
「まぁ、お偉いさん達が気を使うのも分からないではないけどね。
中にはそう言って突っぱねる女性隊員もいるわけだし。(^-^;
だから部隊によっては男性隊員に接遇係をさせるところもあるよ?」
「ふぅん? でも接遇係とか言うのは適材適所なんじゃない?
それに折角女性として扱ってくれるのだったら、そのように振る舞った方が向こうにとっても気持ちがいいだろうし」
「そのように割り切れるのなら楽なんだけどね。
みんなが君みたいに割り切った考えが出来るわけではないから」
とは言え、私自身も此処まで悟るのにはちょっと時間がかかった。
それである時上官達にそれとなく聞いてみたことがあるのである。
そう、こっちがいくらソルジャーモードに入ってスイッチを切り替えたとしても、男性隊員から見たらやっぱり女性は女性のままなのだ。
女を棄てたところで男になれるわけじゃないし、男性隊員と同じ仕事が出来るわけでもない。
それに「男装の麗人」になれるのならいいけれど、色気も何もない「女を棄てたなれの果て」になるのがオチである。←ごめんなさい。
だから女性扱いされるのなら女性として開き直るのが一番いいのではないか、そう自分なりに結論づけたのだ。
男の世界に飛び込む少数派なのだからそれなりに無理はあるのだろう。
甘えを断ち切るという意味で「男に負けるな」「女を棄てろ」と言うのは分かる気はするけれど、それを実行するのはどだい無理な話と言えよう。
結論:世の中は矛盾と欺瞞に満ちている
久しぶりのお話、面白かったです。
結論には100%、同意します!
見た目の問題じゃなくて、気持ちの切り替えを素早くしなさい、ってことかな?でもね~、男性隊員だって、主夫やっている人もいるだろうし。
思うのです、qinさんの世界では、男も女もないんじゃないかと。そんな余裕はない環境じゃないかと。一般社会人とは違う、特殊な世界ですものね。
by okko (2007-10-31 11:25)
結論、わかっていたけど結論はやはりこうなるのですね(笑
今日は角刈り以上に爆笑でした。
でも、僕もフェミニズムとか勉強したのですが、
どうやっても矛盾が出てくるんですよね。男女同一視論も
突き詰めてしまうと男女トイレは別にするのは差別になるとか、
行き過ぎて女性のほうが生物的に優れた存在とか、もうめちゃめちゃ…
自然の法則と言うか成り行きと言うか、本能と言うか
そういったものに素直になるのが一番だとつくづく思いました。
by ひろ茶 (2007-10-31 23:12)
おはようございます。
私の知らない世界です。私のいる業界はデザイン業界ですが、規律とはまったく逆なんですが、男女の区別はなかったように思います。
共に一日15時間ぐらい働いていました。出版業界も同じ。
いつか性同一障害の方と仕事をしました。彼は、奥さんとわかれ、お子さんを育てながら、ライターとして働いていました。感性は女性でスケジュールをきっちりこなしていくのは男性的。こんな性もあってもいいかもと思ってしまいました。男女というより人間としての視点みたいなものが必要なのかもしれませんね。
by 京男 (2007-11-01 09:19)
仕事柄、よそでお茶を出されるのですが。
むさいオッサンが無愛想に出すお茶はやっぱり嬉しくない。
(ちゃんと手洗ってるよね?TT)というレベルから心配になる。
おねいさんがにこっと微笑みながら「どうぞ♪」と出してくれるお茶はおいしい。
qinさん仰るとおり、これは差別ではなくて適材適所と思います。
by とり (2007-11-01 19:36)
男女同権だけど男女同質ではないから、それぞれ適所があるとは思いますが、それにしてもやっぱり、私の知らない世界・・・うーん、なかなか、難しそうです。
by Gamaoyabeeeen (2007-11-02 00:10)
みなさま、ナイス&コメントありがとうございます。m(_)m
okkoさん
> 一般社会とは違う特殊な世界
その通りかも知れないです。
確かに重要なのは気持ちの切り替えなのかも知れません。
主夫やっている男性隊員だっているはずですし。
課業が終わってもソルジャーモードに入っていたら休まる暇すらないですものね。(^-^;
とりあえず世の中は矛盾だらけなのでしょう。
ひろ茶さん
このような理論を振りかざす人って「区別」と「差別」の違いを分かっていないんだな、と大学時代に友人達と話したことがあります。
特殊な世界だからこそはっきりした自分なりの考えを持つのが重要なのかも知れません。
私は女性として開き直ってましたけど、棄てきれる人が居るならそれも一つの考え方なのでしょう。
ただ男性隊員はそう言う人をどう思うのか、どのような目で見るのかと言うのはちょっと興味があります。
あ、私の周囲では女を棄ててる女性隊員は居なかったので。(笑)
京男さん
奥深い話ですね。
確かに性別云々よりも自分自身をしっかり確立する方が大切なのかも知れません。
あと仕事モードと個人モードの切り替えですか。
それにしても一日15時間‥ こっちも基本は24時間365日体制ですが、ハードですね~(汗)
とりさん
むさいオッサンが無愛想で出すお茶は美味しくない。
お茶の入れ方まで気を使う人はそうそう居ないでしょうから、実際にそう言うのもあるのかも知れないですね。
部隊でも上官にお茶だしするとき、後輩の男性隊員の入れ方を見て(器を温めない、お茶葉の量がすごい、時間も無茶苦茶etc.etc.)
「私らが入れた方が良さそうね」
「えぇ」(棒読み)
となったことがあります。(^-^;
まー、でも女の私でも綺麗なおねぇさんが入れてくれるお茶は美味しいと思います。
がま親分さん
何度も出てきておりますが、特殊な世界ですからね。
適材適所もその場所によって変わってくると言うことですか。
> 男女同権だけど男女同質ではない
うーん、深い一言です。
その通りだと思ってしまいました。
xml_xslさん
はじめまして。
お越し頂きありがとうございます。
良かったらまた顔を出してください。
ナイスをありがとうございました。
by qin (2007-11-03 23:54)