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微妙な選択 [雑談]

 今年の夏休暇は祖母の新盆ということもあり、新潟の実家で過ごした。
 が、ちょっと遠回りをして能登の方を回ってから帰ることにした。

 予約した宿は女性宿泊客が好きな浴衣を選べるというサービスが付いていた。
 チェックインしてからスタッフが
「浴衣を選んでいただきますので、奥さまはこちらにどうぞ」
 なるほど、案内された一角には浴衣が綺麗にディスプレイされている。

「上段の浴衣は身長160cm以下のお客様に。
 下段は165cm以上のお客様にお選びいただいております。
 奥様、身長は?」
「(約)164cmです」
 ‥‥‥‥。
「え、えーっと‥ 中間がございませんので、お好きな方をお選びください(^-^;)」

 上段を選べばつんつるてん。
 下段を選べばおはしょりが必要&袖が長いので食事に不便。
 そして下段は選択肢が圧倒的に少ない。
 力いっぱい迷った挙句に上段の浴衣を選んだ。
 確かに丈は短かったが、食事も楽だったしその分かなり動きやすかった。
 その時、ダンナが撮った浴衣の画像を実家で再生したところ、それを見た両親が大笑い。
 着ている時はあんまり気にならなかったけど、画像で見るとかなりつんつるてんだった。
「まぁ、いいんじゃないか。座敷わらしのように見えるぞ(^^)」
 ‥‥‥‥。
 父よ、それはあんまりフォローになっていないと思う。(--;

新たな来客(たぶん完結)'08 [ペット]

 前回の記事からとりあえず時間を見つけてはプランターに張り付いていた。
 ‥と言っても最近は暑さがシャレにならない。
 洗濯や布団を干すついでに観察するという感じである。

 そして前回の記事をUPしてからちょっと経った頃、繭がこんな状態になっていることに気がついた。

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 真ん中に亀裂が入っているの、わかります?
 繭は空っぽ、でも中に入っていた虫はいない。
 なら、他の繭を‥ と気をつけて見ていたのですが、次々と亀裂の入った空っぽの繭が。
 どうやらカゲロウは夜のうちに繭から出て夜明け前にとっとと羽化するようで、つまり羽化するまでの過程が非常に早いようです。
 さすがに夜までプランターに張り付くことはできない。
「(あ~、こりゃ「完結」じゃなくて「未完」のタイトルで書くことになるかな)」
 なんて思っていたら成虫らしいものを2匹発見。
「ラッキーッ!!」
 とカメラを構えたらピントを合わせている間に2匹とも消えるように逃げてしまった。
 そう、まさに陽炎のように消えてしまったのである。
 それから成虫の姿を見なくなったので
「(やっぱりタイトルは「未完」だな)」
 と思い始めた今日、こんなのを見つけた。

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 これって成虫だよね?
 ちょっと画像をいじって明るくしてみよう。

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 もういっちょ。

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 そうかぁ、君が成虫なんだね。
 お目にかかれて嬉しいよ。
 おかげでアブラムシは99%駆逐されました。
 大変お世話になり、厚く御礼申し上げます。m(_)m

新たな来客(2)'08 [ペット]

 11日の夜に官舎に戻ったのは前述の通り。

 12日、プランターを見てまず思ったことは
「アブラムシがいない!!」
 だった。
 99%駆逐されたのではなかろうか。
 彼らの旺盛な食欲に感心&感謝したのであった。

 私が帰る時はまだプランターでエサを食べていたテントウムシもようやく巣立ったようだ。
 そしてその頃に幼虫だったクサカゲロウは繭を作ってさなぎになっていた。
 この時点で動き回っていた幼虫は2匹。

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 この幼虫はエサがなくなって擬態の材料が見つからなくなったのだろうか。
 ここまで大きくなったのだから、我が家で羽化してほしいところだけど。

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 そしてまだ卵が。

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 これ、孵化した後の残骸だったらいいんだけどこれから孵るものだったらどうしよう?
 肝心のエサがいないのですが‥[たらーっ(汗)]

 とりあえずなんとか羽化の観察には間に合ったようです。
 続く。

新たな来客'08 [ペット]

 我が家で巣立っていった子と、これから巣立つ子。
 まださなぎの子もいたりする。

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 とはいえ、とりあえずこれ以上レポートすることはないよね、と思っていた先週6日のこと。
 なんだか変わったものを見つけた。

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 「?」と思いながら写真を撮る。
 そして目についたのがこのゴミ。

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 とって捨てようと手を伸ばしたところ、そのゴミがかなりのスピードで動きだした!!
「え、何これ!?」
 その声を聞きつけてやってきたダンナ、興味を持ったのだろう。
「ゴミの下には何があるのかな?」
 現れたのはお世辞にもかわいいとは言い難い虫さん。

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 しかも見回すと、このゴミがあちこちにいる。
 真っ先に浮かんだのがテントウムシダマシの幼虫。
 ‥‥‥‥‥。
「いやぁぁぁぁぁ~っ!![雷]
 全部捨ててーーーーっ!!!!!」
 喚く私の横でダンナは思案顔。

「以前君に見せてもらったネットの画像と違う気がする。
 それにこの変わった物体も気になるからちょっと調べてみるね」

 調べた結果クサカゲロウの幼虫と判明。
 やはりアブラムシを食べる虫で、外敵から見つからないように食べカス(アブラムシの残骸)を背負ってゴミにしか見えないようカムフラージュしているらしい。
 へぇ、こんなお客さんもいるんだ。
 今まで知らなかったよ。
「まさに思わぬ来客だったわね。こんな虫がいるとは思わなかったわ」
「幼虫はあんまりかわいくないけど、嫌なお客さんじゃないでしょ?」
「うん。夜にここを離れなきゃならないのが残念なくらい。
 もうちょっと観察したかったのに」


 そう、私qinは諸事情から6日発の深夜バスで1週間ほど新潟の実家に帰る予定でいた。
 夜行だから、ということで3列ゆったりリクライニングシート、フットレスト付きという一番グレードの高い[ぴかぴか(新しい)]バスを予約していたのである。
 とりあえず実家に帰る前に現在の状況をUPしていこうとPCに座ったとき私の携帯が鳴りだした。
 電話に出たら予約したバス会社。
「すみません。
 お客様が予約していたバスが故障して動きません。
 もちろん差額はお返しいたしますが、ちょっと狭い4列シートのバスになります。
 ですので、振り込む口座をお教えいただきたいのですが‥」
 とのことだった。
 3列シートだから予約したのであって4列シートだったらはっきり言って乗りたくない。
 とは言ってもキャンセルするとなると、出発日では50%のキャンセル料がかかる。
 キャンセル料を払うのが癪なのでしぶしぶ話を受けようとしたとき、横にいたダンナが会話の断片で内容を察したのだろう。
「電話、替わって」
 そしてバス会社の人相手にいろいろ質問をしてからこんなことを言いだした。
「つまり今回の件に関してはそちらのトラブルなのですからキャンセル料も適用外なんですね。
 それではキャンセルいたします。
 予約金は先ほど家内が言った口座に振り込んでください」
 そう言って電話を切った。

 きょとんとしていた私に視線を移し、
「そういうわけだからすぐに実家に連絡を入れてこれから出る新幹線で帰りなさい」
 そう、バスの発着場所だからと言っても真夜中に大きなショルダーバッグを抱えて新宿の街を一人で歩くことに元々いい顔をしていなかったダンナは「ラッキー[るんるん]とばかりにキャンセルしてしまったのである。
 慌ただしく出発準備を始めて、新幹線に飛び乗り帰省することに。

 戻ってきたのが11日の夜。
 これから改めて観察をしてから続編をUPします。

 ちなみに我が家で羽化したテントウムシ君たちはプランターに戻って食事をしておりました。
 本格的な巣立ちはもうちょっと先のようです。

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今年の来客(完結編)'08 [ペット]

 先日苦戦していると愚痴った「テントウムシ大作戦」、やっと効果が表れてまいりました。
 ようやく目に見えて分かるくらい減りだし、生き残った子たちはうちから巣立っていきました。

 羽化間近、体が丸くなって幅が若干広くなった幼虫。

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 ところでこうなってから
 ↓
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 羽化するまで、数日かかるようです。
 5日後、こうなっておりました。
 ちなみに羽化直後は体に色がなく、こんな感じ。

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 数時間後。
 体が黒くなってるの。
 2日くらいこの場所でじっとしておりましたが、巣立っていきました。

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 そう言えばうちに居ついているこの子はうちで羽化した子なのかな?
 それとも外から来たお客さん?
 まぁ、どっちでもいいけれど。(^^)

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 そして今日、こんな子を見つけた。

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 あれ?
 君、見たことない子だね。
 どこから来たの?
 ‥‥‥‥。
 ってお前、テントウムシダマシやんけ!!!
 悪いがあんたに用はない。
 えぇ、速攻でお引き取りいただきました。(笑)
 一応調べてからお引き取りいただきましたが、もし人違いならぬテントウムシ違いだったらごめん。

 とりあえずこんな感じです。

男と女4 [自衛隊小ネタ]

 教育隊にいたころのこと。
 食堂に行こうと部隊内をぽてぽて歩いているときに突然背後から呼び止められた。
「ちょっと君たち。今、時間あるかな?」
 振り向くと物々しい雰囲気の面識のない上官。
「少しくらいなら大丈夫ですが‥‥」

「(何の用だろう?)」
 と思いながら足を止めると、その上官はこんなことを言い出した。
「これからレンジャー訓練中のお兄さん達がここを通るんだ。
 お兄さん達が通る時、君たちに力一杯応援してもらいたいんだけど、お願いできるかな」
「そう言うことなら喜んで。
 営内のみんなを呼んできますよ」
 女性自衛官たちが沿道にずらーっと並んで待っていると、やがて道路の向こうからジープと人影が。
 そう、ハイポート中(銃を持って走ること、レンジャー訓練中前半総仕上げで20kmハイポートをやる)のお兄さん達である。
「きゃーっ、頑張ってくださーい!!!」
「応援してますーーっ!!!!」
「すごいですぅ、頑張ってください!!」
 お兄さん達が通ると大きな拍手黄色い声援で出迎え&送りだすのだ。
 姿が見えなくなるとあっさり解散。
 こういった光景に2~3度出くわした。

--

 ところで部隊にいたころ、かわいがってくれたとある上官が元レンジャー教官という経歴の持ち主と知った。
 その上官と雑談をしていた時に「そういえば‥」と教育隊時代に見たレンジャー訓練の話をしたところ
「あぁ、あれは最終手段なんだ。
 女の子たちの黄色い声援と拍手、あれは効く。
 上官たちのへたな叱咤激励よりもよほど効く。
 だから彼らの様子を見て限界超えたな、と思った時にお願いするんだ」
 その上官も経験者なのだろうか、力一杯納得しながら何度も頷いていた。

 要するに私たちはカンフル剤だったわけね。

 この時の話を友人にしたところ
「う~ん、なんとなくわかるような気がするな。
 女の子の黄色い声援ならやる気もでるけど、むさい男たちに拍手で迎えられ、だみ声で励まされてもちっとも嬉しくないのでは」
 そんなもんですか。

 私たちはどうだったかな?
 ‥‥‥‥。←思い出している
 ここまで大勢に励まされた記憶がない。
 経験がないから分からないけど、お兄さん達に拍手で迎えられ、太い声で
「頑張れ!!」
 と口々に言われたら、少しはやる気が出たのだろうか。

今年の来客'08 [ペット]

 「テントウムシ大作戦」の経過報告です。
 経過ははっきり言って絶不調、かなり苦戦しております。

 卵は3日4日でふ化、卵から孵った直後はこんな感じ。
 体長2ミリ弱。

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 この幼虫たちをつまようじでそれぞれのエサ場に移動させ、食べてもらうのを期待。

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 ところでテントウムシはアブラムシを主食としている。
 要するに肉食なのだ。
 つまり、エサがなくなると平気で共食いもやらかしてくれるのである。
 だから卵が孵るとそれぞれのエサ場に移動させているのだけれど、それでもあちこちに生存競争に負けたテントウムシの幼虫の残骸が‥
 これ2匹とも死骸なの。
 アップでごめんね。

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 去年のテントウムシは各自活発に動き回り、自らエサ場を開拓して食べ尽くしてくれたけれど、今年のテントウムシって一体‥(--;
 まだまだエサ場はあるんだ。
 頼むよ、周囲にいなくなったからと共食いをするんじゃなくてエサ場を開拓してくれ!

 ブッキングしそうになると移動はさせているけれど、なかなかうまくいかないため見た目に
「減ったな~[揺れるハート]
 と言いたくなる状況にはならず現在に至る。

 そして今日の朝、こんなのを見つけた。
 どうやらプランター伝いにベランダの手すりに移動したらしい。

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 数時間後。

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 早く孵化した幼虫はもうこんな感じ。
 明らかに体が丸くなってきてるので、さなぎになるのも時間の問題。
 羽化した後、プランターに戻ってくれるなら助かるけれど、それが無理ならもう一度成虫テントウムシに出動してもらうことになるかもしれません。

 テントウムシ道は険しゅうございます。

閑話休題 [時事ネタ]

 テントウムシ大作戦は今のところ大きな変化はないので、ちょっと話題を変えて‥‥


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 先週の土曜日、『岩手、宮城内陸地震』があった。
 そして教育隊時代の友人が現在、宮城県に在住している。←結婚退職して、旦那さんの転勤についてきた
 こちらでも結構揺れたので、
「震源地、どこだろうね」
 と言いながらTVをつけたところかなり大規模な地震だったことにびっくり。

「地震、すごいみたいね。そっちは大丈夫だった?」
 友人の携帯にメールを送る。
 数時間後、回線が回復したらしく友人から返信。
「無事[手(チョキ)] でも片付けが大変[たらーっ(汗)]

 無事なことにほっとするけど、どんな感じかな? と火曜日にとりあえず電話してみた。
 そうしたら友人はひどく憤慨していた。
「聞いて、みんな冷たいの。
 安否を聞いてきたのが3人しかいなかったの!!
 地震直後って回線が混んでて携帯使えないし、数時間経ってやっとセンターに問い合わせが出来たのよ。
 安否メール、結構来ているんだろうな、って開いてみたら新着メールが3通しかなかったの。
 部隊関係者はqinちゃんだけよ!
 あと地元の友人から1通。
 残りの1通はピザ○ットのクーポンメール!!!
 夜になってもう1人の友人から思い出したように届いたのみ。
 安否聞いてきたのが合計3人だなんてみんなひどい、冷たすぎ。
 もう友達じゃないんだわ~っ!!!」
 と叫んでいた。

「(なんだかんだ言いながら、神経過敏になっているんだろうな‥)」
 そんなことを思いながらひとしきり彼女の愚痴を聞く。
 物はかなり落ちたし、壁にひびも入ったらしいけど破損したものはほとんどなかったらしい。
 部屋の中がすごい状態になったことに呆然としていたら友人の旦那さんは
「じき呼集がかかるだろうから、部隊に行く。
 しばらく帰れないと思うから」
 と1週間分くらいの着替えをがさっ、と持って慌てて出かけて行ったとのこと。
 そしてそのまま災害派遣に出動するという電話が来たっきり、音沙汰がないそうだ。

「せめて片づけてから出かけてってよ~。[たらーっ(汗)]
 棚がずれてドアが閉まらないのに、直そうにも私の力じゃ無理なんだってば!!」
 被害はなかったようだけど、色々と大変みたい。

 とりあえずTVに映る迷彩集団の中に友人の旦那さんもいるのかもしれない。
 自衛隊、警察、消防の皆様、お疲れ様でございます。m(_)m

来客再び [ペット]

 官舎のベランダにプランターを持ち込んでトウガラシやシシトウを育てている。
 ‥が、今年もお約束のようにアブラムシが大量発生。

 大作戦、というほどではないが、官舎清掃の際に見つけたテントウムシを捕まえて放すということはやっていた。
 それに偶然飛び込んできたテントウムシもいる。
 でも、それだけじゃ次々と増えるアブラムシには追い付かない。
「今年もやりますか、テントウムシ大作戦」
 先週末にダンナと近所を歩きまわってテントウムシさんにお越しいただいた。
 ある程度まとまった数を捕まえると食事よりも子孫を残すことに重点を置くのが出てくるのだ。
 卵を産んでくれればこっちのもの。
 幼虫は飛べないからエサを求めてとにかく動き回る。
 どちらかと言えばそっちの方が目当てなのだ。

 ちなみに我が家の主力部隊はナミテントウ。
 出来れば特殊部隊のナナホシテントウの方がありがたいんだけど、おっとり性格のナミテントウに対してナナホシテントウはかなりせっかちさん。
 のんびりエサを求めて動きまわるナミテントウに対し、ナナホシテントウはその辺を動き回ってエサがなくなるとあっさりと飛び立ってしまうのだ。
 あと生態の違いなのかナミテントウは結構見つかるけれど、ナナホシテントウはなかなか見つからない。
 なので、ナミテントウを10数匹ほど捕まえてみた。
 そしてプランターに放して暇を見つけては観察をする。
 それで分かったこと。
 今年のナミテントウたちは非常に滞在率が高い分、色気より食い気を地で行く連中のほうが多かったようだ。

P1.JPG


 それでもやっと子孫を残そうとするものが現れた。

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 だけどなかなか卵を産んでくれないし、上記のテントウムシが見つからないのだ。
 頼むよ、出て行くならその前に卵を産んで行ってくれ!!!

 と、思っていたらやっとこんなものを発見。

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 拡大してみよう。

P5.jpg

 卵発見!!!!!
 孵化したらまた続編をレポートします。

コーヒーフィルターを求めて [雑談]

 これは以前書いた『メタノールを求めて』の続編のようなものと思ってください。

 実家の両親は時々サイフォンでコーヒーを淹れている。
 燃料用アルコールは無事に確保できたものの、サイフォン用のコーヒーフィルターが少なくなってきた。
「そういえば、フィルターを扱っているお店ってどこだったっけ?
 買い物に行った際についでに買ってこないとね」
 そんな話を両親とする。

 実家は新潟の片田舎。
 扱っている店の方が圧倒的に少ないだろう。
 それでも以前、地元のお店でサイフォン用のコーヒーフィルターを見つけたことがあり
「あぁ、ここはサイフォン用のコーヒーフィルターを扱っているんだね。
 少なくなったらここで買えばいいんだ」
 そんな会話をしたことは覚えている。
 ただ、どの店なのか思い出せないだけで。
 地元の店を片っ端に捜し歩いたが、どうしても見つからない。
「えーっ、じゃぁサイフォンでおいしいコーヒー飲めないの?」
 母はちょっと不機嫌気味。

 いざとなったらネットで買うという手もあるし、いい機会だから両親にネットショッピングを覚えてもらおうと思い立った。
 今はそう遠くないところに住んでいるから何かあれば帰れるけれど、こっちは基本的に全国単位の転勤族。
 いつまで今の部署にいられるかもわからない。
 飛行機でしか移動できない場所に飛ばされることだってこっちは大いにありうるのだ。
 この手の知識はあるに越したことがない。

 ちなみに実家のPCで買い物をしたことがあるから、実家のPCには楽天とamazonの私のアカウントが残っている。
 母をPCの前に座らせ楽天のページを開き、検索などをかけてもらう。
 しかし本人はまるっきりやる気なし。
「カード支払いってクレジット番号とか住所を登録するんでしょ?
 なんか怖いじゃない。
 それにあんたの口座に買った分の金額を振り込めば文句ないでしょ?
 あんたが遠方に行ったとしても電話で同じページを開いてやり取りだってできるはずだし」
 全て私にやらせるつもりのようである。

 が、めげずにページを立ち上げ一生懸命説明する。
「で、どこをクリックすれば買えるの?」
「だから‥」
 練習のつもりでとりあえず買い物かごに入れてもらう。←この時点ではまだ取り消しがきく。
「で、この後は?」
「ここをクリックすれば注文確定して、向こうに発注されたことになるけど」
「ふぅん? で、商品はどこに届くの?」
「ここ(実家)」←官舎以外に実家のデータも残っている。
「請求書は?」
「うち(官舎)」
「お金はどこから落ちるの?」
「私の口座」
「まぁ、よかった。そういうことなら」
 母は迷わず注文ボタンをクリックした。
「ちょっと待て! 私のアカウントでやって見せたのはあくまでもデモンストレーションだ!
 自分のアカウントを登録して、自分の口座から落ちるように設定を入れろ!!!
 ネットショッピングを覚えて欲しいから私のデータが残ってるページを立ち上げたんだろうが!!!!」
「えー、だって個人情報入れるの怖いもの」
 ‥‥‥‥。
 私の個人情報を使うのは構わないってかい。

 そしておもむろに財布を取り出し先ほどのコーヒーフィルター代+αの札を取り出し
「はい、お釣りはいいからあんたの口座に入れときなさい。
 これで文句はないでしょ?

 ‥‥‥‥。
 オトーサン、今からグレてもいいですか?

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